分かんない。



「思い出した……」

この感覚は、そう。
夏休みの事だった。

「あの夏の夜の感覚と同じ……。
そうだ、私……
川上に抱いてもらえてた事が……」

とても嬉しかったんだ。
でも、田所と付き合っていて。
その想いは結局伝えられなかった。
私は、気持ちが揺れ動きつつも、
川上と出会って3年間、
ずっと心の片隅で、
川上の事を想い続けてきたんだ。

「全部、思い出したのか?」

「うん、ほとんど思い出したと思う」

「俺の事も?」

「うん」

「俺に……好きな子がいた事も?」

「……うん」

「なら……話が早い」

ドキドキする。
告白でもしてフラレたのだろうか。

「神埼の事なんだ」

……一瞬、頭の中が真っ白になった。

「……ん?」

「だから……出会ってからずっと
好きだったんだよ……」

川上は顔を真っ赤にして目を逸らした。
まるでドッキリのようだ。
そのくらい、幸せな言葉だった。
あの時告げられた"好きな子"は
私の事だった。
この上に嬉しい事などない気がする。

「私が……田所と付き合った理由は…
好きな人の事を忘れるため……」

「……」

「田所は私に、好きな人の事なんか
忘れさせてやるって言ったの。
最初は良かったけど
今は……凄く怖いと思ってる。
それからは一之瀬の
アプローチが凄くて、
また好きな人を忘れようとして……
でも結局目が醒めれば
その好きな人の事が忘れられなくて。
……ずっと、心の片隅で
その人の事が忘れられなかった」

「……」

川上は、反応を示さない。
今、どう思っているのだろう。

「その人が、川上なの」

「……っ」

川上が息を呑んだ気がした。

「……じゃあ俺らって……
ずっと両想いだったんじゃん……。
もっと早く気づけば良かった」

「あはは、そうだね。
私、川上が……克哉が
私の事、好きでいてくれて嬉しいよ。
これからは、互いの想いを
知りながら生きていけるんだね」

「そうだな……」

「ずっと、ずっと一緒だよ!」

「ああ。ずっと、ずっと一緒な!」

………

……



☆Happy★End☆
< 94 / 94 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop