短編
兄と兄さんと私
全ては紅く染まる。
床も、
壁も、
棚も、
そこに置いてあるテレビも、
あっちにあるソファまでも、
「に…さん…、もう、やめて、よ…」
私は倒れている一番上の兄の元に駆け寄る。
肩を揺らすと、うっと短く痛みを訴えた。
「お前…何、しやがるッ」
一番上の兄は二番目である兄さんを睨みつけた。
兄は両足の太股と脇腹辺りの服が紅く染まっていた。
私は近くに散らばっていた服で兄の脇腹を押さえた。
「アンタを殺して、妹連れてぶらぶらとしようかなって」
「何で、コイツを…連れ、て行く…?」
兄は兄さんから守るように私を抱きしめる。
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