夏の香り
そんなある日。
「ハァ――…何でそんなに俺を誘うんだ?」
我慢の限界だった。
「皆で行った方が絶対楽しいよ!」
こんな理由のためだけに俺の貴重な読書時間が妨げられているのか。
「俺が行った所で何になる?どうせろくに話す相手もいないんだぞ?」
「そっかぁ…氷海君は友達が欲しいんだね!大丈夫、参加すればきっと出来るよ!」
――全く話が通じない。しかも1日親睦会に参加しただけで友達とか出来るわけがない。何をコイツは甘い考えを抱いているんだろう。
「いい加減迷惑だ。話しかけてこないでくれ。」
俺は彼女が追いつけないくらいのスピードで走って去っていった。