夏の香り


心なしか彼女の息が上がっているように見えた。



「……何か用?また勧誘?」




「いや……その……」




そんなに俺に告白現場を見せつけたいのか?


どいつもこいつも…




「分かった。行けば良いんだろ。行くからもう…これっきりにしてくれ。」




こんなこと言いたいわけじゃないのに…



彼女の前だと何故かイライラする。


落ち着かなくなる。


自分が自分じゃなくなる。



こんなことなら――…いっそ終わらせてしまえば良い。


現実を見れば良いんだ。
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