幼なじみ
話しながらまた涙が出てきたあたしを、門脇くんが抱きしめた。
「!?」
「雪奈ちゃん、こんな時に言うのズルいとは思うんだけど・・・」
そう言って、あたしを抱きしめる腕の力が強くなった門脇くん。
「昨日、俺、雪奈ちゃんのこと好きって言っただろ?俺、雪奈ちゃんが須原を好きでも構わない。須原を好きなのもひっくるめて雪奈ちゃんが好きだ。だから、今はまだ須原を好きでもいい。雪奈ちゃん、俺と付き合って・・・」
「えっ・・・そんなの・・・ダメだよ・・・」
そう言って俯いたままのあたしの顔を覗き込んだ門脇くんは、優しい顔で言った。
「俺、泣いてる雪奈ちゃんを見たくない。俺、雪奈ちゃんを1人にしたくない。俺、雪奈ちゃんを笑わせたい。俺、須原を忘れさせてみせる。」
「門脇くん・・・」
もう一度あたしを抱きしめた門脇くん。
「ね?雪奈ちゃん、付き合おう・・・」
その優しい声に、あたしは黙ったまま頷いた。
さよなら・・・かっちゃん・・・
その様子を健ちゃんが見ていたことなんて、あたしは知らずにいた。