幼なじみ
鈴木がそう言って俺たちに背を向けて行った時、雪奈が俺の腕の中から出て行って鈴木に駆け寄った。
「待って!鈴木さん!」
「何よ!」
「あたし、鈴木さんにちゃんと言ってなかったから・・・あたし・・・かっちゃんのことが好きなの・・・ずっと前から・・・ちっちゃい頃からずっと好きなの・・・だから、あたし達、ライバルだよね!あたし、鈴木さんみたいにちゃんと自分の気持ち言えるようになりたい!あたし、頑張るから!」
雪奈・・・
「はぁ・・・ホントにバカもここまできたら、救いようがないわね。ライバルも何も、あたしは須原くんの眼中にないのよ!それに、もう須原くんのこと飽きちゃった。あんなにアプローチしても、全然なびいてくれないし・・・あたしだって、他に言い寄ってきてくれる男いるしね!須原くんなんて、あんたにあげるわよ!じゃあね!」
そう言って歩いて行った鈴木に向かって、雪奈が叫んだ。
「鈴木さ~ん!あたし達、友達だからね~!」
鈴木は、振り向かずに「ば~か」と言いながら・・・手を振って帰って行った。