幼なじみ
「ねぇ!かっちゃん、どうしたの?」
「・・・・・・」
自転車置き場まで来て手を離してくれたかっちゃんにそう言ったけど、かっちゃんは何も言わない。
「克哉はヤキモチ妬いたんだよな~。」
後ろから聞こえてきた挑発するような健ちゃんの声。
「ちげぇよ!雪奈は大事な幼なじみだから・・・あんなヘラヘラしたやつの冗談を本気にしてる雪奈が哀れになっただけだよ!」
大事な幼なじみか・・・だよね・・・
「ほら!帰るぞ!早く乗れよ!」
珍しくイライラしたかっちゃんが怖くて、黙ってかっちゃんの後ろに乗ったあたしに、健ちゃんが言った。
「雪奈、大丈夫か?克哉の言うことなんか気にするなよ!」
「うん・・・ありがとう・・・健ちゃん・・・」
そしてかっちゃんは・・・健ちゃんに何も言わずに黙って自転車を走らせてしまった。