幼なじみ

一気に自転車置き場まで来て、やっと手を離した俺に、どうしたんだと雪奈が聞いてきたけど、何も言わなかった俺。
つうか、何も言えなかった。

そしたら後ろから来ていた健介が言った。

「克哉はヤキモチ妬いたんだよな~。」

その挑発するような言い方にカチンときた俺は、

「ちげぇよ!雪奈は大事な幼なじみだから・・・あんなヘラヘラしたやつの冗談を本気にしてる雪奈が哀れになっただけだよ!」

と、また思ってもないことを言ってしまった。

「ほら!帰るぞ!早く乗れよ!」

そう乱暴に言って雪奈を急かした俺。
大丈夫かと聞く健介に、笑顔で応えた雪奈を見たら、ホントにイライラしてきて・・・
俺は何も言わずに、自転車を走らせた。





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