ラ イ ア ー 《 嘘 》
「自分が死ぬのは、そりゃ、怖いけど……
大切な人のために死ねるんだったら、本望だよ」
にっこりと笑う梨帆に、気分が更に沈んだ。
…梨帆は、すごい。
例え私と同じ立場じゃないとしても…『大切な人のために死ねるなら、本望だ』と、言えてしまうのだから。
私だったら、今この状況に陥っていなくても、『自分が死ぬのは嫌だ。けど、相手も守りたい』…そんなことを考えて、梨帆みたいにはっきりと、自分が死ねるとは言えないだろう。
「…そっか。ありがとう」
まだ完璧に気持ちが〝自分が死ぬ〟の方向に定まったわけではないけれど、
私は明らかに、梨帆が答えた返事によって、〝三人のうちの誰かが死ぬ〟の考えではなく、〝自分が死ぬ〟という考えの方に傾いていた。