ラ イ ア ー 《 嘘 》
……
「…い。…おい。起きろ、木崎沙菜」
「(…え……?)」
――どこからか、私を呼ぶ低い声がした。
聞いたことのある、あの声…。
目をゆっくりと開けると、そこは私の部屋だった。
「ここだ」
「え? あ…っ、」
声のした方を、見る。
低い声の主は、部屋の隅の方にいた。
「久しぶりだな。といっても、あれからまだ二日だが」
「…死、神…さ、ん」
どう呼んでいいかわからず、とりあえず「さん」をつける。
前と同様、黒い布で覆われた身体。
唯一見える紅い口元が、ニヤリと笑った。