ラ イ ア ー 《 嘘 》
「答えは決まったか」
――不意に後ろから聞こえた低い声にビクリとする。
…この声は、きっと何度聞いても聞き慣れないだろう。
「……はい、決まりました」
後ろを振り返りながら、言う。
黒い布で体を覆った、紅い唇だけを見せた死神に。
「一つだけお願いさせてください。最後は、私の好きなようにさせてほしいんです」
私の言葉に紅い唇が弧を描く。
空気の冷たさとその唇に、寒気がした。
「……よかろう。5時、お前の好きなようにするがよい」
それだけ言うと、死神は音も無く消えていった。