ラ イ ア  ー 《 嘘 》


「……え…………?」


梨帆はもうどこにもいなかった。

梨帆が何を言ったのか、わからなかった。


いや、わかりたくなかっただけかもしれない。


「そうだよ…一体どうなってんだよ!!? 三人のうち誰かを選べば自分は助かるんじゃなかったのかよ!!? 俺は…俺はコイツをちゃんと選んだのに!!! なんで…っ俺も消えかけてるんだよ!!!」


次に死神に叫んだのは圭人だった。

わなわなと震えている指先は――陸を指さしていた。


「な……っ、俺もだよ!!! 俺もお前を選んだ。こいつは…圭人は、俺の身代わりのはずなのに、どうなってんだよ!!? どうして俺まで消えるんだ!? 誰かを選べば消えないんじゃなかったのかよ!? 話がちげーじゃねーかっ!!!」


いつも明るいけど優しくて、落ち着いていた陸が、圭人に負けないような大きな声を荒げていた。


――今、私の目の前で、一体何が起こっているんだろう。




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