ラ イ ア  ー 《 嘘 》


死神は、何も言わない。

陸と圭人の姿は、段々と、確実に薄くなっていく。


「ぁ……俺が……俺が消えていく……
嫌だ…嫌だ……う、うわぁあああぁあああぁあ!!!!!」

圭人は消えていく自分の体を、手を、血走った目でワナワナと震えながら見ると、次の瞬間大声をあげて陸に向かって全速力で走りだした。


――全力疾走で陸に向かう圭人。

それを驚いたような顔でそちらを振り返る陸――


――全てが、スローモーションのように見えた。

陸に近づいた圭人が、走った勢いで地面を蹴り、宙に浮き、陸に飛びかかっていく。

反射的に目をつぶる陸。
血走った目をカッと見開く圭人。

飛びかかった圭人の手が、陸の服の襟元をグイッと掴もうとしな瞬間――


――――二人も、消えた。




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