私と晴明と百鬼夜行
とっても広い庭についた。






「こんな広い庭をみたのは初めてだ。」






安倍晴明は…っと。






残念ながらいないようだ。






「つまんないの……」






また一人か…………






「…寂しいのですか?」






鈴の音のようなか細いながらも美しい声が聞こえる。






「誰?」






「葛の葉と申します」






少し笑みの入ったような声。






「どうして姿を見せないんですか?あなたが妖だから?」






「わたしの姿をみたらきっと驚いてしまうから。」






「私、なに見ても驚かない自信あるよ」






感情は捨てたから。






「そういうことではないのです…」






「なんか事情があるのか。じゃあいいや、そのままでいいから私と遊んでよ」






「喜んで!」






すごく嬉しそうな声で葛の葉さんは言う。






もしかして、葛の葉さんはずっとここで一人、暮らしていたのだろうか?






だから私に話しかけたの?寂しかったから?






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