私と晴明と百鬼夜行
「ふーん、アンタも色々と問題かかえてるっぽいね。辛いなら話さなくていいよ。でもさ……」






私は一度言葉をくぎり葛の葉さんの目をみて力強く言う。






「つらくなったら、言いに来なよ?私でも少しは力になれるだろうと思うから」






少しだけ微笑む。






やっぱ美人が困っているのをみるとほっとけないな……






つーか、思わず師匠からの受け売りを言っちゃったよ!






ちくしょう、言うつもりは無かったのに……ッ!






特にあの師匠の言葉だけは……!!






「…………ありがとう。そんなに優しい言葉をかけてもらったのは久しぶりです」






少し涙ぐみながら言う葛の葉さん。






「えっ?ちょ、どうしたんだよ!」






オロオロと慌てる。






「ごめんなさい。あの……お名前をうかがってもよろしいですか?」






「名前はないんだ。……今は夏だから、涼とても名乗っておくよ」






「涼さん、ですか。よろしくお願いしますね。……晴明を」






えっ……?






「では、また会いましょう。さようなら」






そう言って、葛の葉さんだった式神はただの紙に戻った。






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