《短編》空を泳ぐ魚2
「…誰?」
キョトンとして清水は、歩み寄ってきた桜井先生に首をかしげる。
多分コイツのことだから、記憶にさえ残ってはいないのだろう、と。
ため息を混じらせながら俺は、女二人の間に入る。
「…今学期から数学でお世話になる桜井先生だぞ?
清水も色々と教えてもらうと良い。」
さりげなく教えてあげる俺に、清水はすっとぼけたように口を開いて。
「あぁ、魔女?」
「―――ッ!」
おい!!
さすがにヤバい気がして俺は、恐る恐る桜井先生に振り返る。
「…あなた、先生に向かって何を言ってるの?」
わなわなと震えた拳を教科書ごと握り締めている桜井先生は、
押し殺しているのであろう怒りのまま、唇を噛み締めた。
何だか面白いことになってんだけど、笑ってる場合じゃないし。
「…あなた、資料に書いていた通り、本当に問題のある子ね。
私の授業、一生受けないつもり?」
丸く収まる言葉を探す俺より先に口を開いたのは、桜井先生で。
さすがの俺も、良い気はしない。
「桜井先生?
清水は、個性的なだけですよ。
あまり資料を鵜呑みにして否定的に捉えるのは、好ましくないと思いますけど。」
「―――ッ!」
割って入った俺に、瞬間、桜井先生はカッと顔を赤くして。
とりあえず、清水が暴力事件なんて起こさなくて良かった、と。
胸を撫で下ろしながら、そちらに顔を向けた。
「―――ッ!」
悲しそうなのか、はたまた怒っているのか、と。
想像して顔を向けてみたが、
俺の視界に映った清水の顔は、そんな想像とは全然違った。
その瞳は、酷く冷たいようにも見えて。
キョトンとして清水は、歩み寄ってきた桜井先生に首をかしげる。
多分コイツのことだから、記憶にさえ残ってはいないのだろう、と。
ため息を混じらせながら俺は、女二人の間に入る。
「…今学期から数学でお世話になる桜井先生だぞ?
清水も色々と教えてもらうと良い。」
さりげなく教えてあげる俺に、清水はすっとぼけたように口を開いて。
「あぁ、魔女?」
「―――ッ!」
おい!!
さすがにヤバい気がして俺は、恐る恐る桜井先生に振り返る。
「…あなた、先生に向かって何を言ってるの?」
わなわなと震えた拳を教科書ごと握り締めている桜井先生は、
押し殺しているのであろう怒りのまま、唇を噛み締めた。
何だか面白いことになってんだけど、笑ってる場合じゃないし。
「…あなた、資料に書いていた通り、本当に問題のある子ね。
私の授業、一生受けないつもり?」
丸く収まる言葉を探す俺より先に口を開いたのは、桜井先生で。
さすがの俺も、良い気はしない。
「桜井先生?
清水は、個性的なだけですよ。
あまり資料を鵜呑みにして否定的に捉えるのは、好ましくないと思いますけど。」
「―――ッ!」
割って入った俺に、瞬間、桜井先生はカッと顔を赤くして。
とりあえず、清水が暴力事件なんて起こさなくて良かった、と。
胸を撫で下ろしながら、そちらに顔を向けた。
「―――ッ!」
悲しそうなのか、はたまた怒っているのか、と。
想像して顔を向けてみたが、
俺の視界に映った清水の顔は、そんな想像とは全然違った。
その瞳は、酷く冷たいようにも見えて。