《短編》空を泳ぐ魚2
「学校では、あたしとアンタは何の関係もない。」


強く、ハッキリと言った清水は、

少し荒くなった呼吸を整えるようにして髪の毛をかき上げた。



「…じゃあ良いよ。
教師として聞くけど、何考えてんの?」


少し睨むように、その瞳を再び捕らえた。



「…言葉の通りよ。
どーせやりたいことだってないんだし、迷惑がられてるんなら辞めても良い、ってだけ。」


「…あの女が言ったから?」


だけど清水は、俺の問いには答えなかった。



「…アンタ、あんなのと付き合ってたんだね。」


「セナ!」


「―――ッ!」


おどけたように笑う清水に、気付いたら声を上げていた。


ビクッとしたように清水は、唇を噛み締めて。



「…誤魔化してんじゃねぇよ。
お前、卒業したいから俺とヤってたんだろ?」


逃げ出そうとした清水の腕を掴んだが、やっぱり抵抗されて。


瞬間に、背中から抱きしめた。



「…別に、利用しようとかでも良いから。
言いたいことあるならちゃんと言えよ。」


「離して!!」


再度振り払われ、そのまま清水はカビ臭い資料室から逃げるように走り去った。


開いたままの扉から隙間風が吹き抜け、カーテンを揺らす。


また、捕えることが出来なかった、と。



「…嫌われたかねぇ…」


そう呟くと、無性に悲しくなっちゃって。


俺もいい加減、ヤバいのかもしれない。


半分は“面白そうだから”と、清水にちょっかい出してたけど。


俺多分、本気でアイツ居ないと死んじゃうかも。



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