《短編》空を泳ぐ魚2
Ⅲ
「…何なのよ、もぉ…!」
どこまで走り抜けたのか。
呼吸を整えながらあたしは、悔しくて唇を噛み締めた。
いっつもヘラヘラしてるくせに、さっきの目はマジだった。
そうだよあたしは、初めからアイツを利用してたんだ。
アイツだって、それで良いんだと思ってたのに。
卒業しないなら、アイツと切れたって何の問題もない。
なのに何でアイツは、あたしなんかのことでキレるの?
あたしなんか、必要ないじゃない。
誰からも、必要となんてされないじゃない。
誰も、あたしの気持ちなんてわかってくれないじゃない。
夢なんてなかった。
目標だって、持ったことがなかった。
お母さんは勝手に死ぬし、お父さんは勝手に再婚するし。
妹は勝手に産まれるし、学校ではいつも“問題児”のレッテルを張られるし。
望んだって何も叶わないし、ましてやあたしが何をしようと誰も気にも留めない。
寄ってくるのは、あたしの外見ばかりを見る男。
だから逃げたくてライブハウスに通って、みんなと友達になったのに。
だけど正直、輝いてるみんなに醜い嫉妬心さえ覚え始めて。
好きなことして、ファンのみんなにチヤホヤされて。
夢も目標もないあたしには、眩しすぎたんだ。
そんな中にあって岡部だけは、あたしの“自由”を許してくれていたのに。
少しだけ、居心地が良かったのに。
怒るアイツなんか、好きじゃない。
頼むから、あたしの中に入ってこないで。
どう接すれば良いのか、わからなくなる。
これからどうすれば良いのかも、何もかも。
何ひとつ整理出来ない頭の中に、考えることばかりが増えていって。
消化不良で、死んでしまいそうだ。
どこまで走り抜けたのか。
呼吸を整えながらあたしは、悔しくて唇を噛み締めた。
いっつもヘラヘラしてるくせに、さっきの目はマジだった。
そうだよあたしは、初めからアイツを利用してたんだ。
アイツだって、それで良いんだと思ってたのに。
卒業しないなら、アイツと切れたって何の問題もない。
なのに何でアイツは、あたしなんかのことでキレるの?
あたしなんか、必要ないじゃない。
誰からも、必要となんてされないじゃない。
誰も、あたしの気持ちなんてわかってくれないじゃない。
夢なんてなかった。
目標だって、持ったことがなかった。
お母さんは勝手に死ぬし、お父さんは勝手に再婚するし。
妹は勝手に産まれるし、学校ではいつも“問題児”のレッテルを張られるし。
望んだって何も叶わないし、ましてやあたしが何をしようと誰も気にも留めない。
寄ってくるのは、あたしの外見ばかりを見る男。
だから逃げたくてライブハウスに通って、みんなと友達になったのに。
だけど正直、輝いてるみんなに醜い嫉妬心さえ覚え始めて。
好きなことして、ファンのみんなにチヤホヤされて。
夢も目標もないあたしには、眩しすぎたんだ。
そんな中にあって岡部だけは、あたしの“自由”を許してくれていたのに。
少しだけ、居心地が良かったのに。
怒るアイツなんか、好きじゃない。
頼むから、あたしの中に入ってこないで。
どう接すれば良いのか、わからなくなる。
これからどうすれば良いのかも、何もかも。
何ひとつ整理出来ない頭の中に、考えることばかりが増えていって。
消化不良で、死んでしまいそうだ。