《短編》空を泳ぐ魚2
「セナ!」
どれくらいの時間だっただろう、立ち尽くしていたあたしは、
名前を呼ぶ声と共に瞬間にぬくもりに包まれて。
気付いたら、息を切らした岡部に抱き締められていた。
「…襲われたのかとか…すげぇ心配したじゃん…」
「―――ッ!」
瞬間、あたしは唇を噛み締めた。
何を考えてこんなこと言うのかわかんない。
自分だって、あたしのこと襲うじゃん。
結局あたしは、そーゆー対象なだけじゃん。
「…やめてよ、誰かに見られる…!」
だけど岡部は、あたしを離そうとはしてくれなくて。
強く握ったビニール袋が、クシャッと音を立てた。
静かな静かな、住宅街。
点々とある外灯と月明かりが、ただあたし達を照らしてるだけ。
心地の良い風が、あたしの髪の毛をなびかせて。
「…とりあえず、俺んち行くぞ?」
そう言った岡部は、ゆっくりとあたしから体を離した。
抵抗したって勝てないことは、もぉ何度も思い知った。
半ば強引に手を引かれ、岡部の家へと連れて行かれた。
ベッドに腰を降ろした岡部にあたしは、
どうすることも出来ずにその場に立ち尽くして。
視線を向ける場所は、最終的に自らの足元になってしまう。
手に持っているプリンが入っただけのコンビニの袋が、やけに重たく感じて。
岡部と居るはずなのに、何故か息が詰まる。
地上の空気を初めて吸った人魚姫は、きっとこんな感じだったのだろう。
息苦しくて、堪らない。
どれくらいの時間だっただろう、立ち尽くしていたあたしは、
名前を呼ぶ声と共に瞬間にぬくもりに包まれて。
気付いたら、息を切らした岡部に抱き締められていた。
「…襲われたのかとか…すげぇ心配したじゃん…」
「―――ッ!」
瞬間、あたしは唇を噛み締めた。
何を考えてこんなこと言うのかわかんない。
自分だって、あたしのこと襲うじゃん。
結局あたしは、そーゆー対象なだけじゃん。
「…やめてよ、誰かに見られる…!」
だけど岡部は、あたしを離そうとはしてくれなくて。
強く握ったビニール袋が、クシャッと音を立てた。
静かな静かな、住宅街。
点々とある外灯と月明かりが、ただあたし達を照らしてるだけ。
心地の良い風が、あたしの髪の毛をなびかせて。
「…とりあえず、俺んち行くぞ?」
そう言った岡部は、ゆっくりとあたしから体を離した。
抵抗したって勝てないことは、もぉ何度も思い知った。
半ば強引に手を引かれ、岡部の家へと連れて行かれた。
ベッドに腰を降ろした岡部にあたしは、
どうすることも出来ずにその場に立ち尽くして。
視線を向ける場所は、最終的に自らの足元になってしまう。
手に持っているプリンが入っただけのコンビニの袋が、やけに重たく感じて。
岡部と居るはずなのに、何故か息が詰まる。
地上の空気を初めて吸った人魚姫は、きっとこんな感じだったのだろう。
息苦しくて、堪らない。