《短編》空を泳ぐ魚2
あれからあたしは、岡部を避け続けていた。


岡部だって、いつもみたいに話しかけてくることはなくて。


どうせ、次のオモチャでも見つけたのだろう。


だってうちの学校は、卒業の危ういヤツなんていくらでも居るんだから。


別に、あたしじゃなくたって誰でも良いんだ。


そんなこと、今にわかったことじゃない。



寝坊してそのまま休み、次の日に一応学校に向かった。


だけど何故か、学校中が騒然としていて。


あたしを見つけた生徒達は、ヒソヒソと声を潜ませる。


不審に思いながらも、その理由なんてわからなくて。



「清水!」


そんな時だった。


あたしを見つけたのだろう岡部が、こちらに駆け寄って来て。



「…白石、自宅謹慎になったの知ってるか?」


「えっ…?」


寝耳に水とは、まさにこのことだろう。


昨日の今日で、誠に一体何があったのか。



「…誠、何かやらかしたの?」


恐る恐る聞くあたしに岡部は、声を潜ませた。



「詳しく聞きたいなら、今晩来い。」


「―――ッ!」


何か言うより早く、岡部はそれだけ告げてその場を去って。


頭の中が、何一つ整理出来ない。


何より今は、アイツの家なんか行きたくないんだ。


そう思いあたしは、携帯を取り出して誠の名前を表示させて通話ボタンを押した。

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