《短編》空を泳ぐ魚2
Ⅵ
あの後すぐに、清水の就職が決まったことを担任から告げられた。
俺は、そんな話聞いてさえいなかったのに。
俺なんか居なくたって、お前はきっと、ひとりでも生きていけるんだろうな。
俺もぉ、アイツにとって必要ないのかな。
あれから3回ほど、清水の携帯を鳴らしてみたけど。
だけど当たり前に、通話ボタンが押されることはなくて。
学校に居たって、目も合わせてくれない。
用済みだ、って。
言われてるみたいで、悲しくなった。
「…岡部先生。
あの、ご相談があって…。」
職員室の隣のデスクから、桜井先生が声を潜めて話しかけてきた。
「どうかしました?」
体に馴染みすぎた笑顔を無理やりに作り俺は、桜井先生に向けて。
俺今、人の相談とか受けてる場合じゃないんですけどね?
「…ここではちょっと…。
出来れば今晩、お付き合い頂けたらと思って…。」
「…え?」
「あっ、いえ。
迷惑じゃなければ、なんですけど。」
そう小さくなって桜井先生は、いつもみたいに顔を赤らめた。
仕方なく俺は、“良いですよ”と告げて。
さすがの俺も、飲みたい気分だし。
飲まなきゃこんなの、やってられねぇよ。
本気で好きだと気付いたら、今度はそれを伝えることさえ出来ないんだから。
まるで、生徒に手を出した罪を、今更になって咎められているようで。
いつの間に俺は、こんなにも“教師”って仕事に馴染んでいたのだろう。
俺は、そんな話聞いてさえいなかったのに。
俺なんか居なくたって、お前はきっと、ひとりでも生きていけるんだろうな。
俺もぉ、アイツにとって必要ないのかな。
あれから3回ほど、清水の携帯を鳴らしてみたけど。
だけど当たり前に、通話ボタンが押されることはなくて。
学校に居たって、目も合わせてくれない。
用済みだ、って。
言われてるみたいで、悲しくなった。
「…岡部先生。
あの、ご相談があって…。」
職員室の隣のデスクから、桜井先生が声を潜めて話しかけてきた。
「どうかしました?」
体に馴染みすぎた笑顔を無理やりに作り俺は、桜井先生に向けて。
俺今、人の相談とか受けてる場合じゃないんですけどね?
「…ここではちょっと…。
出来れば今晩、お付き合い頂けたらと思って…。」
「…え?」
「あっ、いえ。
迷惑じゃなければ、なんですけど。」
そう小さくなって桜井先生は、いつもみたいに顔を赤らめた。
仕方なく俺は、“良いですよ”と告げて。
さすがの俺も、飲みたい気分だし。
飲まなきゃこんなの、やってられねぇよ。
本気で好きだと気付いたら、今度はそれを伝えることさえ出来ないんだから。
まるで、生徒に手を出した罪を、今更になって咎められているようで。
いつの間に俺は、こんなにも“教師”って仕事に馴染んでいたのだろう。