《短編》空を泳ぐ魚2
―ピーンポーン…

「はーい!」


何となく良い予感がして俺は、玄関へと急いだ。


ガチャッとドアを押した瞬間、その場所に立っていた人物を見て、

思わず口元が緩んでしまって。



「…何よ、その顔。」


そう言った彼女は口元を引き攣らせ、コンビニの袋を片手に中へと足を進める。



「セナ。
待ち望んでたんだけど。」


ついつい嬉しくて俺は、背中から清水を抱き締めた。


驚いたのだろう清水の手から、持っていたコンビニの袋が抜け落ちて。


ゴトッと音がした瞬間、そのままの体勢で清水を壁に押し当てる。



「…アンタねぇ…!」


「…一週間も放置しやがって。
学校で襲ってやろうかと思ったじゃねぇかよ。」


「―――ッ!」


抵抗の声を上げる清水にお構いなしに俺は、

シャツを羽織っただけのキャミソールに背中から手を滑らせる。


俺、コイツの胸大好きなんだけど。



「いい加減―――!」


押さえつけられていた清水が首だけで振り返った刹那、

俺は自身の唇でそれを塞ぐ。


絡める舌の所為なのかその唇からは、吐息と共に甘美な声も漏れ始めて。


程よい日焼けは、夏休みに一緒に海に行ったときのものだろう。


ビキニのラインが残る曲線美を横目に、あの日の水着姿を思い出して。



「…やべぇな…」



いつも掴みどころがないように俺の手からすり抜ける清水だけど。


この瞬間だけは、俺だけのものなんだ。


バックの体勢は、余計にそう思えるから好き。


組み敷いてるし、この腰が何よりヤバい。


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