《短編》空を泳ぐ魚2
「…この前のあの男、何?」
顔を近づけ岡部は、そう聞いてきて。
まるで、あたしだけが責められてるみたいで。
「…あの男ともヤってんの?」
「―――ッ!」
そう言って岡部は、あたしの手首を握り締める手に更に力を込めて。
首筋に顔をうずめた岡部の前髪と吐息が、あたしをくすぐる。
「こんな場所じゃ絶対誰にもバレねぇし、最後にヤるのも悪くねぇよな。」
「…やめて…離してよ…!」
岡部のこと、初めて気持ち悪いとさえ思えて。
嫌悪感が体中を渦巻く。
その瞬間、握り締められていた手首から力が抜けて。
代わりに抱き締められた。
戸惑うあたしに、岡部はゆっくりと言葉を紡いで。
「…なぁ、俺の何が気に入らねぇの?
そんなに俺じゃ嫌?」
「―――ッ!」
岡部の声は、微かに震えているようにも聞こえて。
先ほどとはまるで正反対の声に、あたしは何も言えなくなった。
「…もぉ…こーゆーことしないで…」
あたしとアンタは、あの日無関係になったはずなんだから。
「…本気で終わらせたいなら、放課後、英語科の資料室に来い。」
「―――ッ!」
そう言って岡部は、ゆっくりとあたしから離れて。
その瞳がこちらに向くことはなかった。
「…行かないから。」
「なら、来るまで待ってるよ。」
それだけ言い残し岡部は、キィッと重い扉を開けて屋上を後にして。
ガシャンと音が響いた瞬間、頭を抱えあたしは、壁を伝って崩れ落ちた。
顔を近づけ岡部は、そう聞いてきて。
まるで、あたしだけが責められてるみたいで。
「…あの男ともヤってんの?」
「―――ッ!」
そう言って岡部は、あたしの手首を握り締める手に更に力を込めて。
首筋に顔をうずめた岡部の前髪と吐息が、あたしをくすぐる。
「こんな場所じゃ絶対誰にもバレねぇし、最後にヤるのも悪くねぇよな。」
「…やめて…離してよ…!」
岡部のこと、初めて気持ち悪いとさえ思えて。
嫌悪感が体中を渦巻く。
その瞬間、握り締められていた手首から力が抜けて。
代わりに抱き締められた。
戸惑うあたしに、岡部はゆっくりと言葉を紡いで。
「…なぁ、俺の何が気に入らねぇの?
そんなに俺じゃ嫌?」
「―――ッ!」
岡部の声は、微かに震えているようにも聞こえて。
先ほどとはまるで正反対の声に、あたしは何も言えなくなった。
「…もぉ…こーゆーことしないで…」
あたしとアンタは、あの日無関係になったはずなんだから。
「…本気で終わらせたいなら、放課後、英語科の資料室に来い。」
「―――ッ!」
そう言って岡部は、ゆっくりとあたしから離れて。
その瞳がこちらに向くことはなかった。
「…行かないから。」
「なら、来るまで待ってるよ。」
それだけ言い残し岡部は、キィッと重い扉を開けて屋上を後にして。
ガシャンと音が響いた瞬間、頭を抱えあたしは、壁を伝って崩れ落ちた。