《短編》空を泳ぐ魚2
―ガチャッ…

「―――ッ!」


開けた瞬間、右に向けた視線の先に、清水が居て。


俺を見て目を見開くその足元には、煙草のピンカスがあった。



「探したぞ?」


そう清水に向け、閉めた扉に背中を預けた。


これでもぉ、コイツは逃げられないはずだ。



「…保健室、行ったんじゃなかったのかよ。」


「…関係…ないから…」


横目で捕える俺の視線から逃げるように、清水は顔を俯かせてそれだけ言って。


いつもいつも、“関係ない”で片づけられる。



「…関係ねぇことねぇだろ?
嘘ついてサボって立入禁止の屋上に入って、その上煙草まで吸ってて。」


「―――ッ!」


「見逃せると思ってる?」


ムカついて、仕方がなくて。


体を反転させ俺は、清水の体の四方を囲むようにして見降ろした。



「謹慎にでもなんでもすれば良いでしょ?!」


だけど清水は声を上げ、俺の体を押そうと必死で抵抗して。


そんなに俺のこと嫌かよ。


そう思った瞬間には、その両手首までも捕えて壁に押し当てていた。



「…この前のあの男、何?」


そう聞く俺に、返事はなくて。


関係ない、って?


そんな風にさえ言われてる気がする。


近づけた顔を、彼女の視線が捕えることはなくて。


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