《短編》空を泳ぐ魚2
Ⅸ
どれほどの時間、あたしは屋上に居たのだろう。
アイツのところになんか、行きたくもなかった。
行けば、もぉこんな風にされないのだろうけど。
嘘ばかりつくアイツの言葉なんか、信じることさえ出来なくて。
虚しく時間ばかりが過ぎる。
―ブィーン、ブィーン…
体操服のお尻のポケットに入れておいた携帯が、着信のマナーを鳴らす。
気付けばもぉ、太陽さえも低く校舎の影を伸ばしていて。
着信:誠
―ピッ
「セナ、どこに居るんだよ?!
もうすぐ閉会式始まるぞ?」
もうそんな時間なのかとあたしは、ため息を混じらせた。
「…ごめん、すぐに戻るから。」
それだけ言い、電話を切った。
そして動かなくなっていた体を無理やりに起こし、屋上から出た。
相変わらずの静まり返った校舎は、ひんやりとした空気さえ漂っていて。
体育祭も終われば、本格的に冬に近づくのだろう。
「セナ、どこに消えてたんだよ?」
そう言ってトボトボと歩くあたしに、誠が小走りに口を尖らせて近づいてきた。
「…うん、ちょっとね…」
「つーか、顔色マジでヤバくね?」
“大丈夫かよ?”と誠は、言葉を濁すあたしを心配そうに見つめて。
「大丈夫だってば!」
無理やりに笑顔を作って向け、自分のクラスの列の最後尾に並ぶ。
岡部の方なんか、見ることもしたくなかった。
アイツのところになんか、行きたくもなかった。
行けば、もぉこんな風にされないのだろうけど。
嘘ばかりつくアイツの言葉なんか、信じることさえ出来なくて。
虚しく時間ばかりが過ぎる。
―ブィーン、ブィーン…
体操服のお尻のポケットに入れておいた携帯が、着信のマナーを鳴らす。
気付けばもぉ、太陽さえも低く校舎の影を伸ばしていて。
着信:誠
―ピッ
「セナ、どこに居るんだよ?!
もうすぐ閉会式始まるぞ?」
もうそんな時間なのかとあたしは、ため息を混じらせた。
「…ごめん、すぐに戻るから。」
それだけ言い、電話を切った。
そして動かなくなっていた体を無理やりに起こし、屋上から出た。
相変わらずの静まり返った校舎は、ひんやりとした空気さえ漂っていて。
体育祭も終われば、本格的に冬に近づくのだろう。
「セナ、どこに消えてたんだよ?」
そう言ってトボトボと歩くあたしに、誠が小走りに口を尖らせて近づいてきた。
「…うん、ちょっとね…」
「つーか、顔色マジでヤバくね?」
“大丈夫かよ?”と誠は、言葉を濁すあたしを心配そうに見つめて。
「大丈夫だってば!」
無理やりに笑顔を作って向け、自分のクラスの列の最後尾に並ぶ。
岡部の方なんか、見ることもしたくなかった。