《短編》空を泳ぐ魚2
滞りなく体育祭も終わり、そしてホームルームも終わってしまって。
日当たりの良い窓際の席で西日に照らされながら、
帰ることも、ましてや英語科資料室に行くことさえも出来ずに時が過ぎる。
「清水、まだ居たのか?
戸締りするし、そろそろ帰ってもらえると助かるんだけど。」
どれほどそこに居たのだろうあたしに、
やる気なく教師が鍵の束を持ち上げて言った。
見つめた窓の外に見えるグラウンドにも、すでに人影はまばらになっていて。
ひとつため息をつき、バッグを持ち上げて教室を出た。
さすがにもぉ、あの男も諦めて帰っているだろうけど。
もし居たとするなら、最後に一度、アイツにちゃんと謝りたかった。
これがアイツを利用したバツなんだとするなら、
自分自身が楽になりたいだけなのかもしれないけど。
“ごめん”って言えば、きっとアイツはヘラヘラと笑ってくれると思ったから。
遠回りをし、渡り廊下を渡って隣の校舎に向かう。
英語科資料室の前まで来て、そこで早くなった心臓を落ち着かせている時だった。
「キャッ!」
ドアに手を掛けた瞬間、女のか細い悲鳴のような声が聞こえて。
そのまま、あたしの手が止まる。
耳を凝らそうとしても、厚めのドアだからか話声程度しか聞こえてこなくて。
その内容があたしの耳まで届くより先に消えてしまって。
中で一体、何が起こってるの?
きっと、開けない方が良いってわかってるのに。
なのにあたしは、手を掛けたままのドアを、
ゆっくりと横へと引いて。
―ガラガラ…
「―――ッ!」
その光景に、目を見開いた。
日当たりの良い窓際の席で西日に照らされながら、
帰ることも、ましてや英語科資料室に行くことさえも出来ずに時が過ぎる。
「清水、まだ居たのか?
戸締りするし、そろそろ帰ってもらえると助かるんだけど。」
どれほどそこに居たのだろうあたしに、
やる気なく教師が鍵の束を持ち上げて言った。
見つめた窓の外に見えるグラウンドにも、すでに人影はまばらになっていて。
ひとつため息をつき、バッグを持ち上げて教室を出た。
さすがにもぉ、あの男も諦めて帰っているだろうけど。
もし居たとするなら、最後に一度、アイツにちゃんと謝りたかった。
これがアイツを利用したバツなんだとするなら、
自分自身が楽になりたいだけなのかもしれないけど。
“ごめん”って言えば、きっとアイツはヘラヘラと笑ってくれると思ったから。
遠回りをし、渡り廊下を渡って隣の校舎に向かう。
英語科資料室の前まで来て、そこで早くなった心臓を落ち着かせている時だった。
「キャッ!」
ドアに手を掛けた瞬間、女のか細い悲鳴のような声が聞こえて。
そのまま、あたしの手が止まる。
耳を凝らそうとしても、厚めのドアだからか話声程度しか聞こえてこなくて。
その内容があたしの耳まで届くより先に消えてしまって。
中で一体、何が起こってるの?
きっと、開けない方が良いってわかってるのに。
なのにあたしは、手を掛けたままのドアを、
ゆっくりと横へと引いて。
―ガラガラ…
「―――ッ!」
その光景に、目を見開いた。