《短編》空を泳ぐ魚2
「セナー!
今日の俺ら、何点だった~?」


相当楽しかったのか誠は、スキップを混じらせてあたしに近づいてきた。


正直あたしは、見てさえいなかったので答えに困って。



「…35点くらい?」


とりあえず、この前の現代社会のテストに書かれていた数字を思い浮かべた。



「ハァ?!」


「嘘だよ、100点満点だった。」


眉をしかめる誠に取ったこともない点数を告げ、

“帰ろう”と言って先に歩く。


純粋な瞳で聞いてくる誠に、適当な言葉への罪悪感が生まれて。


未だにあたしは、進みたい道も決められず、

親のレールに乗っかる方法以外に見つけていないと言うのに。


目標を持つ誠に、そんなこと言えなかった。



「だろ?
マジ最高だったもんな!」


そう思いだしたように笑う誠から顔を背けた。


冷たいばかりの夜風が通り過ぎて。


気付けばいつの間にやら、いつものコンビニまで来ていて。



「んじゃあ俺、帰るな!」


そう言って誠は、自分の家ではない方向へと体を向けた。



「…どっか行くの?」


「あぁ、これからツレんち。」


「そっか、じゃあね。」



いつも通りが、今日も無事に終わるはずだった。


いつもと大した違いなんて、なかったはずだったのに。



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