オレ様な先輩に恋をした!?

 「芽衣歌―!」

 頭上から真由の心配そうな声が聞こえて我に返った。

 「あ、ごめん」
 「大丈夫?」
 「うん…」

 あたしはゆっくり立ちあがってスカートをパンパンと叩いた。


 『放課後、屋上で待ってる』

 
 さっきの先輩の言葉が忘れられない…
 あたしはどうしたら良いんだろう……

 行くべき?  それとも行かなくてもいい?

 そんな事をずっと考えているうちに一時間が終わってしまった。

 「あのさー芽衣歌…昼休みから変だよ?」
 「え?」

 普通にしてるつもりだったのに…

 「なんかあった? 昼休みに…」

 
 あたしの顔を除きこみながら聞いてくる。

 「うん…ちょっとね…」

 あたしは昼休みにあったことを真由に聞いてもらう事にした。

 いきなり名前を聞かれて、答えてからすぐに帰ろうとしたら抱きしめられた事…
 そして、放課後、屋上で待ってるって言われてこと。

 今、あたしが1番悩んでる事だった…。

 「そーなんだ…あたしが行ってる間にそんなことがね」

 真由はジュースを片手に俯いてるあたしの頭を優しく撫でてくれた。

 「どーしたらいいのー?」

 突然のことばっかりで頭がついてこないよ…。
 恋愛初心者のあたしには分からない事ばかりだった。

 「そうだね…まずは行ってみるしかないんじゃない?」

 ズズズとジュースを啜る。

 やっぱり、行ったほうがいいのかな?

 「まあ、決めるのは芽衣歌だけど? でも、あたしは行ったほうが良いと思うけどね」
 「なんで?」

 バッと顔をあげる。

 「だって、そういってきたのは2年生の中で結構有名な人だし…女子には人気なんだよ?」
 「へえ…」

 知らなかった… あの先輩がそんな人だとは…
 
 それを聞いた時はなんか自分のことみたいに嬉しくなった。

 「こういうことには疎いもんね、芽衣歌は」
 「あはは」
 「ま、とりま行っておいで?」
 「そうだね…」

 行ってみないと何にもわからないよね…
 自分の中で納得して一人頷いた。



 放課後。 
 
 あたしは屋上に来ていた。
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