オレ様な先輩に恋をした!?

 ギイイ――

 不気味な音をたてながら屋上の扉が開いた。

 空は快晴。 心地いい風が吹いていて、すごく気持ち良い。
 
 屋上ってこんなに良いところだったんだ。

 「早いな」

 空に見入ってしまった時急に後から抱きしめられた。

 「きゃあ…」
 
 反射的に叫び声が出る。

 「叫ぶなよ」
 「でも…」

 後にいる人は見なくても分かる…。
 先輩だ…

 「脅かさないでください…」

 振りかえるといけない気がして振りかえれなかった。

 「悪かったよ」

 軽く笑いながら言ってくる先輩に胸がキュウってなるのがわかった。

 「とりあえず、座れよ」
 「あ、はい…」

 パッと離れてすばやく椅子に腰掛ける先輩。
 1テンポ遅れてあたしも椅子に座った。

 椅子が小さく出来てるのか先輩との距離が近い…。
 ほんの少し触れる肩が妙に熱く感じる。

 「な、なんで呼んだんですか?」

 沈黙に耐えられなくなってそう切り出した。
 聞きたかった事でもあるしね。

 「んー…芽衣歌と話したかったから」

 ドキ――

 想像とは全然違う返事が返ってきて一人であせるあたし。

 『話したかったから』

 先輩の言葉がリピートする。

 太陽が傾き始めて夕日に照らされた先輩の顔は普通の時よりもカッコよく見えた。
 また、心臓が激しく脈を打ち始めた。

 「先輩…からかってるんですか…」
 
 そんな先輩の顔を直視出来なくて俯く。

 「からかってないよ」

 いつも以上に真剣な声にまたドキッとした。

 「ていうか、先輩じゃなくて、春樹」
 「え?」

 バッと顔をあげる。
 目の前には夕日で赤く染まる先輩の顔がある。

 「春樹って呼んでよ」
 「はい?」

 いきなり言われてことにマヌケな返事をしてしまった。
 そんなあたしを見て苦笑いをする先輩。

 「だから、名前で呼んでってこと」
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