君がいた奇跡
「ハル」

窓の外を見ているハルにそっと声を
かける。

「翔! 」

ハルの瞳が輝いた。

太陽のような笑顔も無邪気な表情も
何ひとつ変わっていない。

「久しぶり、会いたかったよ」

ハルは明るく微笑んでいる。

「結衣も来てくれたの? 」

「どうも」

結衣が優しく笑う。

俺はハルが末期がん患者である事を
しばらく忘れた。

そのくらい、ハルは明るく、楽しく、
元気いっぱいだった。
< 102 / 172 >

この作品をシェア

pagetop