君がいた奇跡
「じゃあ、帰るね」

日が暮れかれた頃、俺はハルに言った。

「うん」

ハルの表情が少し曇る。

「また来るからさ」

俺はハルに内心の寂しさを
見透かされないように明るく言った。

「また会えるよね? 」

ハルは真剣な眼差しで言った。

目には少しだけ涙が浮かんでいる。

ハルはいつだって死と隣り合わせ。

会えるのがこれで最後に
なったって、おかしくないのだ。
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