君がいた奇跡
「ケーキとか、用意できなくて
ごめんな? 」

「ううん、これだけでもすっごく
嬉しいよ」

翔の指は絆創膏だらけだった。

きっと不器用な翔なりに
一生懸命、作ってくれたんだろう。

私は少し編み目が崩れた帽子を
頭にかぶった。

どんな高価な宝石よりもずっとずっと
嬉しかった。

「似合うじゃん」

「本当に? 」

結衣に褒めてもらった。
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