君がいた奇跡
想い
「こんなに素敵な人達に出会えて、こんなに温かい時間を過ごせて、短い命だったけど、私、すごい幸せ者だよ」



月明かりに照らされた病室はとても静かだった。





「そんな最期みたいな事、言うなよ。
ハルはまだ生きられるよ」




翔の頬には涙。




「綺麗事になるかもしれないけど、言うよ。
ごめんな、俺が代わってやれなくて」




翔は申し訳なさそうに言った。




「最初はどうして私が病気になったんだろうとか、そういう事ばっかり考えてたんだけど、最近ね、考えが変わったの」





深呼吸をした。






「病気になったのが、私で良かったよ。
だって、こんな辛い病気、他の誰かにかかってほしくないから」





私は微笑んだ。



できるだけきれいに見えるように。
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