君がいた奇跡
講義を終え、屋上でぼうっと考え事を
する。

がんの事をこれから、どう隠し通せば
いいか、考えていた。

「…! ハル! 」

翔の声が響き、我に返る。

「ごめんごめん、考え事してた」

私は咄嗟に作り笑いをして、答える。

「ハル、最近、本当におかしいよ。
ハルがハルじゃないみたい。
何かあったなら、話して? 」

翔は私の目をじっと見つめて言った。

「驚かないで聞いてくれる? 」

もう、私は隠し通せない。
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