君がいた奇跡
3日後、私は入院した。

抗がん剤治療は想像を絶する辛さで
毎日吐き気を催し、食欲も失せ、
どんどん痩せ細って行った。

「ゴホッ、ゴホッ! 」

激しい咳と吐き気。

「こ、ここに戻していいよ」

翔が少し慌てた様子で洗面器を
差し出してくれた。

全て吐き出すと、氷枕に顔をうずめる。

「落ち着いた? 」

翔が優しく背中をさすりながら聞く。

「うん……」

弱々しく答える。

「ハル、熱あるだろうから、寝な」

翔の言葉に安心し、すぐに眠りに
ついた。
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