君がいた奇跡
「翔は髪も胸もない彼女でいいの?
こんな私と一緒にいて、楽しい?
どんどん弱って、変わっていくのを
翔に見せたくないよ……」

私は翔に不安を打ち明けた。

このまま、私といても、翔が幸せに
楽しく過ごせるとは到底、思えない。

翔は他の誰かと新しい恋をして、
新しい生活を始めた方がいいのでは
ないかと思ったのだ。






「髪がなくても、胸がなくても、
ハルがいるなら、それで良い」

翔はとても真っ直ぐな瞳をしていた。

「本当に……? 」

「本当。
ハルがいるだけで、俺は幸せだから。
ハルがハルらしくいてくれるなら、
髪がないとか胸がないとか、
関係ないよ」

翔に背中を押され、私は乳房切除を
決意した。

私の心に迷いはなかった。

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