君がいた奇跡
「ハル、大丈夫? 」

翔の声ではっと我に返る。

「ごめん、ちょっと痛くて」

心配をかけないように笑って言う。

「そう? 何かあったら、言ってね」

翔は深くは聞かなかった。

「うん、全然大丈夫だから」

明るく言った。

大丈夫。

このくらいなら、全然平気。

そう自分に言い聞かせた。

「ハル、大丈夫? 」

最後の講義を終えた時に友達の結衣にも
言われた。

「ちょっと朝から胸が痛くて。
でも、全然大丈夫だよ」
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