僕の可愛いシロ [短編]
 行きたくないな……。


 校門まで来た時、僕は足を止めた。昨日は上履きに続き体育着が無くなっていた。
 でも――また何時間にも及ぶ、母親の説教する顔が浮かび僕の決断を簡単に揺るがした。
 僕は他の人間よりも、きっと弱いんだろうな。昔から嫌な事があると、すぐに逃げたくなった。逃げれば苦しみからも遠ざかれると思っていたから。


 ――行かなくちゃ。胃の痛みを感じ吐き気をもよおしながらも、仕方なくそのまま校舎へと足を進めた。



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