僕の可愛いシロ [短編]
 あれ……?

 少し力を強めた。教室のドアがいくらやっても開かない。僕は、えいっと心の中で掛け声を出し、ありったけの力で勢いよくドアを開けた。
 その瞬間、ドサドサっと僕の頭上に勢いよく何かが降ってきた。

 なん、だ?

 何が起こったのか全く理解出来ず、おもむろに一歩踏み出した。ふと足に柔らかい感触を感じ足元に目をやった。――なんなんだ、これ?
 灰色、というべきだろうか? なんだか色々な色が混ざりすぎて何色という判別がつけがたい、何かドロドロとした固まりが、床のあちこちに飛び散っている。見ると足元だけじゃなかった。僕の体の至る所にそのドロドロが繁殖している。
 教室のあちこちから、クスクスと笑い声が聞こえてくる。

「――うっ」
 ふと異様な臭いが鼻を刺激し、思わず僕は声を漏らした。
 ――まずい。胃の中から込み上げてくるものを必死に戻そうと口元を押さえ、教室から出ようとした。

 しかしグイッと腕を掴まれ、僕の身体は凄い力によって教室の中に投げ出された。






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