僕の可愛いシロ [短編]
Ⅱ
七時。まだ目覚めない体に鞭を打ちながら、制服に腕を通す。ベットではシロが小さく伸びをしていた。
「じゃあ行ってくるからね。寂しいけどいい子にしてるんだよ」
いつものようにシロの頭を優しく撫でて、部屋を出た。部屋を出る時、シロはいつも哀しそうに僕を見上げる。その表情がたまらなく、僕に愛おしい感情を湧き上がらせる。
制服のポケットから鍵を取り出し、しっかりと部屋を閉める。ガチャンという音が虚しく響く。
母親は、昔からペットを飼う事を嫌っていた。だから勿論、シロの事も内緒だった。後ろ髪を引かれながらも階段を降り、玄関へと向かった。
「ユウちゃんっ、ご飯は?」
玄関で靴を履いていると、パタパタと足音が聞こえ背中から甲高い声が響いた。
「今日はいいよ。お腹空いてないんだ」
ニッコリと微笑んで、後ろを振り返る。
「いいって最近ずっとそうじゃないの。ちゃんと食べないと勉強に集中出来ないのよっ?」
「……ごめん」
「こないだのテストだってあんな酷くて……ママ、恥ずかしくってご近所さんとも顔合わせられないのよっ?」
そう言って顔を歪めて僕を睨む。
「次は頑張るから」
僕は逃げるように玄関を飛び出した。ちゃんと塾に行きなさいよ! と追い打ちをかけるように母親の叫ぶ声が耳に入った。
勉強。
勉強。
勉強。
僕はあと何年、こうやって言い続けられるのだろか?
「じゃあ行ってくるからね。寂しいけどいい子にしてるんだよ」
いつものようにシロの頭を優しく撫でて、部屋を出た。部屋を出る時、シロはいつも哀しそうに僕を見上げる。その表情がたまらなく、僕に愛おしい感情を湧き上がらせる。
制服のポケットから鍵を取り出し、しっかりと部屋を閉める。ガチャンという音が虚しく響く。
母親は、昔からペットを飼う事を嫌っていた。だから勿論、シロの事も内緒だった。後ろ髪を引かれながらも階段を降り、玄関へと向かった。
「ユウちゃんっ、ご飯は?」
玄関で靴を履いていると、パタパタと足音が聞こえ背中から甲高い声が響いた。
「今日はいいよ。お腹空いてないんだ」
ニッコリと微笑んで、後ろを振り返る。
「いいって最近ずっとそうじゃないの。ちゃんと食べないと勉強に集中出来ないのよっ?」
「……ごめん」
「こないだのテストだってあんな酷くて……ママ、恥ずかしくってご近所さんとも顔合わせられないのよっ?」
そう言って顔を歪めて僕を睨む。
「次は頑張るから」
僕は逃げるように玄関を飛び出した。ちゃんと塾に行きなさいよ! と追い打ちをかけるように母親の叫ぶ声が耳に入った。
勉強。
勉強。
勉強。
僕はあと何年、こうやって言い続けられるのだろか?