僕の可愛いシロ [短編]
「あのっ! それってあそこのダンボールにいた猫ですかっ?」

 公園の入口の脇に置いてあるダンボールを指さしながら、咄嗟にその女性達に話しかけていた。
「……えっ? さ、さぁ?」
 彼女達は、突然話しかけられて戸惑った声と怪訝な顔をこちらに向ける。
「そのっ、武田さんちってどこですかっ?」
「え? そこだけど……ちょっとっ! ボクっ――?」

 女性の片割れが指さした場所は、ちょうど公園の真向かいの家だった。
 僕はすぐさま駆け出し、勢いよくその家のインターホンを鳴らす。


「――はい?」
 公園の入口にいる主婦達と同じようにエプロンをした女性が、ドアから顔を覗かせた。

「あのっ、今日そこで子猫が轢かれたって聞いたんですけどっ!」
「……えっ? ああ、そうよ。小さくて白い子猫」
 武田さんは、小さい客にビックリしながらもそう答えてくれた。
「それって、公園にいた猫じゃないですかっ?」
「公園、に……? ああ、そういえば何度か見かけたことあるから、そうかもしれないわねぇ」

 自分の頬に手をやり、武田さんがしんみりと言った。



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