僕の可愛いシロ [短編]
 もう止まらなかった。

 机の上に置いてあったボールペンを手に取り、思いきりシロに振り上げた。
 シロの足にボールペンがグサッと突き刺さる。

 シロは奇声にも似た声を発し、顔を歪めた。


 どいつもこいつもっ……!

 苦しがるシロに顔も向けず、僕は部屋を飛び出した。





 どのくらい歩いたんだろうか? 辺りは朝日が昇りすっかり明るくなり始めている。人の姿もちらほらと現れ始めた。きっと通勤や通学する人達だろう。僕はつい身を隠すように近くの土手に腰を降ろした。
 しばらくそこでぼーっと川の流れを見ていると、徐々に冷静さが戻ってきたのか急に色々な事が馬鹿らしく思えてきた。

 母親のことも学校のこともチャットのことも。

 シロ……。

 無性にシロに会いたくなった。怪我は大丈夫だろうか? 自分でやっておきながら、シロの身体が心配になり始めた。

 帰らなきゃ。

 帰ってシロに謝らなきゃ! 僕は勢いよく立ち上がり、家路へと急いだ。



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