僕の可愛いシロ [短編]
 僕は、シロを見つけたあの公園の前へと来ていた。
 もしかしたら、ここかもしれない。というより、もしここにいなかったらシロを探す術はもうない。


 雨も本降りになり始め、もう暗くなりかけている公園には人っ子ひとりいなかった。
 手前から順番に、その姿を見逃さないように遊具を探し始める。ブランコ、砂場、滑り台、ジャングルジム……しかし、やはりシロの姿はなかった。

 僕は諦めかけて隅にあるベンチにぐったりと腰を下ろした。
 座った瞬間、右端のよく繁った草むらから微かに何かが動いたような気配を感じた。そっと立ち上がり、その草むらへと近寄り草を丁寧に掻き分ける。


 そこにシロはいた。


「……シロ」
 僕の声にビクッと体を震わせ、疼くまっている体をなお一層小さくさせた。

「シロ、ごめんね。僕どうかしてた。足、痛いだろう? 手当てしてあげるから一緒に帰ろう?」
 出来るだけ優しく声をかける。
「シロ、おいで?」

 シロがゆっくりと顔を上げ、僕の顔を窺うようにジッと見据える。

「もう、絶対にあんなことしないから……だから、おいで?」
 僕はそっと手を伸ばした。

 触れた瞬間、シロはビクッと体を震わせたが逃げようとはしなかった。
 僕はそのままびしょ濡れになっているシロを抱き上げ、極力人目に付かないように家へ連れて帰った。



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