ドッきゅん!
きゅん1!
*かくれおに
カァカァカァ、と、カラスの呑気な鳴き声が聞こえる。
辺りは一面真っ赤で、夕焼け色に染まっている。いつもと同じ道、同じ風景なのに、夕焼けひとつでこんなにも違って見えるんだなぁ、なんて。ちょっと風流っぽいものを感じちゃったり。なんだか、妙に気持ちが高ぶっていて。
そんな少し上擦った気持ちで、いつもと違った道で帰ろうと、公園へ足を踏み入れた。
もう夕暮れということもあり、昼間は賑やかであろうそこも、今は人っ子ひとりいない。
しーんとしていて、少し不気味かも。
「あー……失敗したなぁ……」
茂みなんかから何か出てきそうで、怖い怖い。
この時間帯は日が落ちるスピードが速くて、街灯の光がやけに目立っていた。
ビビり屋な一面のある私。それでも、ビクビクしながら、一歩一歩歩みを進めていた。
すると――
ドンっ!
何かが真っ正面からぶつかってきた。その衝撃で、私は後ろへ吹っ飛んだ。いや、吹っ飛んだなんて表現じゃ甘いかもしれない。それくらい、吹っ飛んだ。
「ったぁ~……!」
「いってぇ……」
頭をさすっていると、頭上から何やら低い声が。ということは、私が今ぶつかった……いやいや、ぶつかられたのって、人?
私は、しりもちをついたまま、上を見上げた。
「てめぇ、何やってんだよ。前方には注意しながら歩けって習わなかったのか?」
「……はい!?」
ちょっとちょっと、この人の言い分、意味がわからないんだけれど。明らかに猛スピードで突っ込んできたのはこの人。つまり、私はさっきも言ったけど、ぶつかられた側だから何も悪くない。
「ぶ、ぶつかってきたのはそっちじゃ……」
「あぁ? 避けれねぇ方が悪いだろ」
すごく強い口調で言われ、反論の余地もなかった。
ヘタレな私は、怖じ気づくばかり。
なんか、薄暗くて顔はよく見えないけど、口調からして不良っぽい。私、もしかしたらリンチとかされる? 殴られる? そんなことを考えていたら、怖くて涙が出てきた。
「……ごめんなさぃ」
この場から早く逃げ出したくて、私は立ち上がろうとした。
「っ……!」
その瞬間、足首に痛みが走った。どうやら、吹っ飛んだ時に捻ったらしい。
「もしかして、立てないのか?」
「……うん」
「はぁ……ドン臭ぇ奴に出会ってしまったもんだ」
「ちょ、そんな言い方なくない……! で、ですか?」