ドッきゅん!
*入学式
今日は、待ちに待った入学式。
ええ、そうです。あの一件から、春休みは駆け足で過ぎていきました。
そして今日は、始めにも述べたように、私が通う“私立神崎学園”の入学式の日。校門には、でかでかと看板が掲げてある。流石、県内屈指の私立校。その辺の学校とは格が違うようだ。
「えーっと……私は……1-Cか」
靴箱でクラスを確認し、階段を登っていると、後ろから聞き覚えのある声がした。
「おい、町谷」
「……へ?」
「お前だ、そこのドジっ子チビ」
「こ、この声、まさか……!」
私は、後ろを勢いよく振り返った。背後には、案の定あいつがいて。
「なんでいるのっ!? エロ眼鏡!」
「俺もここの新入生だかだよ。そんなこともわかんないのか? ますます退化したみたいだな」
ハンッと、鼻で笑われた。沸々と、怒りがわいてくる。いかん、自分を抑えろ、陸……!
「てゆーかついてこないで! もう、あっち行ってよ!」
「いや、俺も教室こっちだし」
なんだか、嫌な予感しかしない。いや、まさか、まさかね。こっちの棟はC組からF組まであるし。一緒になる確率なんてそうそうない。そう思いながら、恐る恐る聞いてみた。
「……何組?」
「C」
嫌な予感とは、当たるためにあるものなのだろうか。見事に的中してしまった。
「最悪……クラスも同じ?」
「それはこっちのセリフだ」
相変わらず、ものすごくムカつくやつ。この……あれ、私、そういえばこいつの名前知らないんだっけ。
「あ、そうそう、名前! 名前聞いてない! なんていうの?」
「宮田翔吾」
「へぇ、名前はかっこいいんだね」
「あぁ? しばくぞ」
「冗談冗談!」
私たちが楽しく(?) 談笑しながら廊下を歩いていると、周りから何やら黄色い声が聞こえてきた。いや、なんだか視線が痛いなぁとは思っていたけれどね!
『何あの人、かっこいい!』
『身長高~い! イケメン!』
『隣の子彼女? 大して可愛くもないのに……』
などなど。様々な声が。最後のやつすごく気になるわ! ま、私は彼女でもないし可愛くないのも自覚してますので、傷付きはしませんけど!
「うるせぇな……よくも朝からあれだけ騒げるもんだ……」
「原因自分でしょ」
「まあな」
「うわ、サラッとナルシストだこの人」
「黙れ」