点零
車で町を走らせると、
何もかもが別の意味の支配にあった。
社会的成功や、
金とは違った、
道路を走るということが、
道路や歩行者を支配しているような、
俺には、
彼女とのドライブが、
正直嫌いじゃなかった。

すぐに着く海、
まるで
大人になった証のような、
このシチュエーションに
きっと二人とも酔いしれた。

大人になったから、
そういうことをしたい
だけなのかもしれないし、
遅れたくない、
自分も大人を満喫したいっていう
焦りのような楽しみのような、
そんな感じでもあった。

流す音楽にとくに
こだわりはなかった。
彼女がCDをいろいろ焼いてくれたが、
意外とロックというか、
XJapanだったり、
YUIだったり、
結構オーソドックスなところを
攻めてきた。

女の子としての
オーソドックスかはわからないが、
かなり心地よかった。

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