点零
実家で
就職活動を始めた彼女は

まるで学生時代に無かったものを
今、得ているような感覚だった



夜の街で夜の店で
お金を稼ぎ、自由な生活をすることが
青春を取り戻すことだと
必死にお金にこだわった20代の日々は


とりあえず終わりそうだった


普通の事務に採用され


普通の仕事をしていると


何気ないご飯がとてもおいしかったし

何気ない親切を
形だけでなく
何気なくしてしまう



夜の街には
多くの思い出が

彼氏と別れることによって
ようやく区切りが付いたと

前向きに捉えられ
そして
スーツを着て

今日もバスに揺られた




平和公園で
昼御飯を食べていた


黒髪で静かに
木を見ていた
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