点零
夜の仕事中、
あるキャバ嬢が
彼に言った。

>ねぇ彼女いないの?

>いないです。

彼は、キャバ嬢というものを
少し、
働きながらも遠い存在のように見ていた。

>趣味とかないの?

>囲碁です。

彼にとって、
趣味を囲碁だというのは
初めてであった。

>車とかもってないの?

>いえ、持ってないです。

>買えば~。

>いや、そんなに収入がないので、

>掛け持ちしてるんでしょ?

確かに、
ローンを組めば、
買えないこともなかった。
でも、
親をあてにしては、
いけないし、
しかも特に何かのために
貯金などしていなかった。

>車持ってたら
ドライブ連れていってもらおうと
思ったのに~。

マジか!
彼はこのチャンスを逃さまいと
車を買う決心がついた。
彼は
インターネットや中古車屋で
車について色々調べた。

彼にとって、
キャバ嬢は
一線ある存在であり
一緒に遊ぶなど、
考えてもいなかったのである。

彼は
やはり車ならセダンかな?
あの子を乗せるなら
かっこよくないと
などと考えを巡らした。

囲碁は三段にまで上達した
22歳の冬であった。

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