点零
>俺、車買いました。

>えっ、マジ!

>ボロいのですけどね。

>ちょっ、今日乗せて!

>今日は家に置いてきました。

>今度どこか連れてって、
ね、アド交換しよう?

食い付きがすさまじかった。
三人くらいアドレス交換した。
いや、
彼がアドレス交換しないことが、
むしろ今まで
彼女たちは話しかけにくいとさえ
思っていて、
一人交換したのに便乗して
二人食い付いたのである。

彼は、この仕事で
それはマジメに働いた。
昼よりも時給がいいからである。
しかし店長や
キャバ嬢の信頼は厚かった。

社員になろうと思えば
なれる勢いだったのである。
彼は、自分が終わったあとも
社員が残って何か
仕事をしているのを知っているから、
時間的に社員は
嫌だと感じていた。
とくにそういう話もでなかったし、
一線おいた立場をとっていたが、
この車の話で、
いきなりみんなと仲良くなった。

>お前、何買ったの?

店長が聞いた。
店長は、彼の一歳上だったから
彼もそれなりに慕っていた。

>三菱のディアマンテです。

>渋いのいくね。

ディアマンテは
その状態のよさと
格好よさに対して
値段がとても安かったのである。

>店長は何に乗ってるんですか?

>セドリック。

彼は、セドリックをよく知らなかったが、
有名だとういことは
何となく知っていた。
家に帰ると、
あの子からメールが
来てたが、
明日も仕事なので、
とりあえず寝た。

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