彼女によると、俺はキリンに食べられたらしいです。
「う、わああああ!!?」
「うおっ、なんだよ?」
「き、キリンに食べられ…い、生きてるううう!!」
「ハァ?」
間違いない。夢でキリンに食べられ、お豆腐につぶされ、バニーガールに突き落とされ、ファンタで溺死した人だ!
しかし、彼の「なに言っちゃってんの」な視線に我に帰る。うん、あたしが勝手に見てる夢であってあのその…
「あ、すみません。なんでもないです」
「?」
不思議そうな顔をして、そのまま歩いていくその集団。あ、なんかどっと疲れた。でもまさか夢で見た人が現実にしかも身近にいるなんて。
「梨々?」
「ま、繭ちゃん。あのグループ…」
「あぁ、なんかうるさいと噂のグループ。はっちゃけてるよね」
ふうん…と答えてはいたけど、視線は耀くんという人に向けたまま。こんな偶然ってあるんだと思いながら、手のひらの150円を握りしめた。